徳島のローカル線 「共同経営」で不便さ解消 JRきっぷで高速バス乗車OK 共通区間拡大

徳島バス(本社:徳島市)とJR四国は、徳島県南部地域で「バス事業者と鉄道事業者による共同経営」を2022年4月1日から実施していますが、この取り組みをさらに進めて対象区間を拡大します。

牟岐線などで運行しているJR四国1500形気動車(溝口駅長/写真AC)
牟岐線などで運行しているJR四国1500形気動車(溝口駅長/写真AC)

鉄道も高速バスも特例で共通運賃に

両者の連携のきっかけは、JR四国が2019年3月に実施したダイヤ改正です。徳島県の海沿いを縦断する牟岐線では、徳島駅近郊区間で増発する一方、利用の少ない阿南駅以南では経営効率化のため減便を行うという内容です。利便性低下を危惧した徳島県は、地域間輸送の機会を確保するよう徳島バスに協力を要請しました。

徳島バスはこれに応え、県南部と大阪を結ぶ高速バス「室戸・生見・阿南大阪線」のうち、牟岐線と並行して一般道を走行する阿南駅〜甲浦間で途中乗降を認めるよう制度を改めました。高速バスの一部区間を路線バスとして利用できるようにしたもので、運転本数が減り不便になる鉄道をバスが補完する協力体制が始まりました。

この時点では、阿南駅などで鉄道とバスを乗り継ぐ際、JRのきっぷでバスを利用することはできなかったため、運賃が別途必要となる不便さがありました。解決するには事業者同士で運賃を一体的に運用する必要がありますが、競争を制限するという理由で独占禁止法に触れる恐れがあります。

昨今、大都市圏以外では人口減少が続いており、地方のバス事業者は約8割が赤字となっているのが現状です。これを踏まえて国は、地域公共交通の活性化を目的とする場合に限定し、独占禁止法の適用を除外する特例法を設け、2020年11月に施行しました。

徳島バスとJR四国は第二段階として、県と協力してこの特例に基づく「共同経営計画」を作成しました。阿南駅以南で鉄道とバスの双方を同じ地域輸送サービスとして利用できるようにするもので、2021年3月に国土交通大臣が認可し、同年4月1日からサービスが開始しました。鉄道・バス事業者の共同経営による「並行モード連携モデル」の取り組みは全国初の事例です(徳島バス・JR四国による徳島県南部共同経営の路線図、高速バス途中乗降の時刻表など詳細は下の図表を参照)。

【路線図で解説】徳島バス・JR四国による徳島県南部共同経営の路線図、高速バス途中乗降の時刻表

「青春18きっぷ」でも高速バスに乗れる

牟岐線と並行する高速バス途中乗降区間は、JRのきっぷや定期券などによって利用することができます。「青春18きっぷ」などの特別企画乗車券や、JR四国が提供するスマートフォン用チケットアプリ「しこくスマートえきちゃん」も対象に含まれます。阿南駅〜牟岐駅間のJR普通運賃は1,080円、バス運賃は1,200円となっており、あらかじめJRきっぷを購入することでおトクに移動できます。

また、鉄道とバスを乗り継ぐ際はJR乗車券類による通し運賃が適用されるため、徳島駅方面と乗り換えるときの初乗り運賃は不要です。

共同経営開始後の統計によると、対象区間の高速バスをJR乗車券類で利用した方の数が現金での利用者を上回っており、利便性向上の効果が現れています。

さらなる取り組みとして、路線バスの既存バス停「海部高校前」に高速バスが新たに停車します。この停留所は阿波海南駅に近く、運賃面で連携する共同経営区間の南端も、従来の浅川駅から牟岐線の終点、阿波海南駅まで1駅間拡大します。この共同経営の変更は2023年4月27日(木)付で国土交通大臣に認可されており、5月20日(土)から実施されます。

徳島バスの金原克也社長とJR四国の西牧世博社長は共同で、「将来に向けて利便性の高い持続可能な公共交通を構築していくために、交通事業者が競争ではなく協調するとともに、地域の関係者と連携を密にして、四国に最適で持続可能な『公共交通ネットワークの四国モデル』を追求してまいります」とコメントしています。

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